クラシック・パス

 技法名“クラシック・パス”。
パスと言う技法の中の代表でもあります。
何もしていない、または軽く揃える動作でパスをすると言うのは大変難しいです。
ブレークの作り方、引き込む角度、両手の角度、どの動きでするか、タイミング、いろいろと考えてしまいます。
こんなにも難しい技法なのに、何故か練習してしまう、不思議な技法です。
“難しいものに挑戦する”そういったチャレンジ精神的なところもあるかも知れません。

パスによるコントロール。
例えば、DLで違うカードがお客さんのカードに変わるマジックがあります。
このマジックを、トップコントロールで演じたときと、パスで演じたときの差は、あまりありませんでした…。私の場合ですが。
カードが変わったところに意識が集中してしまい、中に入れて混ぜたかどうかを覚えてないことも多かったです。

アンビシャスで使うのは、確かに効果はありますね。
サインしたカードが、デックの中ほどに入っていくのがハッキリと見えながら、トップから現れるのですから。
ですが、私はリスクが大きいので使いません。
面白いのが、パスを使って、お客さんに怪しまれた後、普通にDLでやるとすごく不思議に見えたようです。
おそらくパスの時に、サインしたカードを確かに入れているとお客さんは納得していたからでしょう。

カラーチェンジで使うのは、私個人の意見ですが、かなり効果があるように思います。
普通のカラーチェンジは、撫でるなどのモーションがあり、一瞬ではありますが隠れる瞬間があります。
でもパスで行うと、隠れる瞬間がなく、見えている状態で変わるので不思議なようです。


 聞いた話によると、もともとはギャンブラーが使っていた技法で、それをマジシャンが使い出したと聞いています。

ギャンブルでディーラーがゲームの中でシャッフルしたあと、隣の人に1度カットをさせて、そこから配るという方法を行う時があります。
ディーラーは長いゲームの中で、誰がどんなカットをするかを覚えておきます。
ディーラーが密かに、いいカードをトップに集めて、都合のいいカットをしてくれる人にカットしてもらいます。
その時に、カットしてもらった後、その場所で密かにパスをして、目的のカードをトップに持ってくるそうです。

昔の手品は、クロースアップがなく、ステージで演じていたので、ひとつの手品でパスを5・6回行うものもあるそうです。
今、その文献を見たら、『パスの達人だ…』と思うかも知れませんね。




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